【潜在性二分脊椎がわかるまで】⑤小児科受診
待ちに待った夫の休み。
私たちは、息子の予防接種などでいつもお世話になっている近所の小児科に行った。
いつもどおり問診票を書いて、呼ばれるのを待つ。人もそこまでいなかったため、息子の名前が呼ばれたのもすぐだった。
先生「今日はどうしたんですか?」
私「お尻にディンプルがあって、、、」
※日本ではお尻にある跡のことを皮膚洞というが、韓国ではディンプルという。
その言葉を言った瞬間、先生の顔つきが変わった。
先生「ディンプル!?!?早く見せてください!!」
先生の言葉から、焦りや驚きなどが伝わった。
診察台に息子を横たわらせ、お尻の跡を見せる。
先生「なんでこれを早く言わなかったんですか!!産婦人科で言われなかったんですか!?」
先生は若干怒っているようにも聞こえた。
夫「産婦人科で確かに言われましたが、健康状態は良好と言われたため大丈夫かと思い、言っていませんでした。」
夫はこういうとき冷静に伝えることができるため、何かと頼りにしている。
私は先生の反応に驚いて、言葉がとっさに出なかった。
先生「息子くんが産まれて6ヶ月経つのに、、、4ヶ月のときの健康診断のとき、私は確認しなかったのかしら、、、」
先生も先生で狼狽えているようだった。
韓国では4ヶ月頃に生後初めての健康診断がある。
日本の乳幼児健診と同様に、体重や身長は伸びているか、名前を呼んだら反応があるかなど、身体面や発達面で成長しているか確認する。
その際に、先生はお尻の方までは確認をしていなかった。
それを覚えていた看護師さんが
看護師「先生、お尻の方まで見ていませんでしたよ。」
その言葉を聞いた先生は、若干責任感を感じているようにも見えた。
先生「わかりました。今から紹介状を書くので、このあとすぐ大きい病院に電話して、予約した日にちを教えてください。あと、できるだけ早い日にちで予約をとってください。」
どこの病院が良いんだろう、、、と考えていたときに看護師さんが教えてくれた。
看護師「ここら辺の近くなら大学病院、潜在性二分脊椎の手術で有名な病院はソウルの○○○病院、○○○病院ですよ。」
私たちが住んでいるアパートから車で5分ほどの距離に大学病院があった。
そこは潜在性二分脊椎の手術を担当する神経外科ももちろんあるが、果たして腕が良いのかわからない。
手術の腕だけで考えるとソウルの病院だが、ソウルに行くとなると車で片道2時間。
それにその車さえも私たちは持っていなかった。
消去法で大学病院を3日後に予約した。
夫はその後仕事に行ったため、家には私と息子の二人だけだった。
もらった紹介状を見ると、症状という欄に
「潜在性二分脊椎症」と記載されていた。
その言葉を見た瞬間、涙がとめどなく溢れた。
妊娠しているとわかった時点で葉酸を飲んだのに、
ビタミンDも鉄分も出産するまでずっと飲んでいたのに、
カフェインも控えたのに、
インスタントも食べないように努力したのに、
私の何がいけなかったんだろう、、、
息子、本当にごめんね、
健常者として産めなくてごめんね。
後悔してもこの状況は変えられないのに、
後悔ばかりが浮かんで涙が止まらない。
息子の前で大泣きしたのはこの日が初めてだった。